Goldと通貨 2013 3 31

書名 世界は金本位制に向かっている
     金で世界支配を目論む中国
著者 宮崎 正弘  扶桑社新書

 アメリカの共和党関係者は、
「中国は、人民元を不当に安く放置している」と非難しますが、
本当は、「人民元には価値がない」と言えるかもしれません。
 状況証拠として、党の幹部も富裕層も、
巨額の資産を海外に避難させ、
人民も、まめに人民元をGoldやドルに「換金」しています。
 中国では、上から下まで、
「もはや人民元には価値がない」と気づいているのでしょう。
気づいていないのは、アメリカの共和党関係者だけかもしれません。
 どうして、こんなことになってしまったのか。
よく聞くことは、中国では、偽札が多いということです。
銀行のATMからも、偽札が出てきたという話も聞いたことがあります。
 こうした問題の一因として、
リーマン・ショック後の景気対策で、
中国政府は、人民元を大量に印刷しましたが、
人民だって、人民元を大量に印刷した可能性があるのです。
 この辺の事情は、青木文鷹氏の本に詳しいので、
それを引用しましょう(「世界はマネーに殺される」扶桑社新書)。
 中国に長期滞在していれば、
偽札を手にする機会が多くあります。
 中国には、4種類の紙幣が流通しています。
「真札」「真札の偽札」「偽札の真札」「偽札」の4種類です。
 「偽札の真札」は、極めて高度に作られた偽札で、
金融機関も騙されるレベルの偽札です。
ATMや銀行で引き出されたものに交じっていることも珍しくありません。
 実際、毎年、中国の銀行では、100億元前後の偽札が押収されますので、
偽札が発見された程度ではニュースにもなりません。
 そして、一番やっかいなのは「真札の偽札」です。
これは、真札と同じ原版で印刷したもので、
厳密に言えば偽札ではありません。
 しかし、本来、一枚刷るところを複数枚刷って流通させてしまうので、
同じナンバーの紙幣が複数枚流通することになります。
 以前、バスケットシューズがブームだった頃に、
正規品を作る工場で、営業時間外に、
正規品と同じ材料を使って作られた偽シューズが流通したことがありますが、
感覚的には、これに近いと思います。
夜間自主操業モデルの真札といったところです。
 このようなかたちで、市場に、
中国人民による「自主的な資金供給」が行われている限り、
政府のコントロールは十分に利かず、
仮に少しでも経済状態が悪化すれば、
国際社会が認識している規模をはるかに超えた市場崩壊が起こるであろうことは、
想像に難くありません。
(以上、引用)
 そういう特殊事情がありますので、
党の幹部は、巨額の資産を海外へ避難させ、
人民は、人民元をGoldに「換金」しています。
だから、アメリカの共和党関係者の批判は「的外れ」です。
 さて、話題を変えましょう。
中国人は、アメリカと戦争しても勝てないことは、よくわかっています。
 しかし、戦争とは、必ずしも戦車やミサイルで行うとは限らないのです。
兵法の国なので、意外な方法で、仕掛けてくるかもしれません。
 ここ数年、Goldは、高値の水準にありますが、
それでも、中国は、あらゆる方法で、Goldを集めているように感じます。
 その上、産金量も、かなり増えました。
昔の教科書では、産金量の世界一は、南アフリカと書いてありましたが、
今は、急速に増えた中国です。
 さて、何を考えているのか。
単純に、「通貨への不安」ということもあるでしょう。
 宮崎氏の本では、
「中国の庶民は、危機の予感を抱いている。
だからこそ、中国人は、金投資に余念がなく、
余分なマネーは銀行預金に預けるより、
実物の金塊に投資するのである」
「中国の金消費は、2011年だけでも761トン、
このうち個人による金の延べ棒買いは、213トンにも及んだ。
 わずか1年の中国の金消費が、
日本の国家が保有する金備蓄に匹敵するのだ」とあります。





































































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